産後うつについて(夫の視点)ー経緯ー①
奥さんが産後うつになりました。
こんにちは。ゴリラです。
今回は奥さんが産後うつになったので、その事について夫の視点で書いてみようと思います。
産後うつについて調べていたところ夫の視点で見た奥さんの支え方や体験談をあまり見ることが無かったので少しでも似たような体験をした方の手助けになればと思い、自身の経験を元に方法をまとめました。
その中で産後うつになった経緯を書いていたのですが、長くなりそうだったのでこちらに別枠にて書きます。
具体的な支え方については「産後うつについて(夫の視点)ー実践した方法ー」を参照いただければと思います。
産後うつになった経緯
約一年前に子供を出産しました。奥さんの状態としては、妊娠前・妊娠中は肉体・精神的な問題はなく、順調に妊娠期間を過ごしていました。症状が出てきたのは母子ともに健康で出産が終わった直後でした。コロナ禍ということもあり入院中はあまり奥さんと子供の元に行けなかったという状況でした。
奥さんと毎日やり取りをしていたのですがその中で「毎晩泣いている(奥さんが)」「自分の子供の泣き声が聞けない」等の弱気な連絡がよく来ていました。その時私は「まだ病院内で一人だから寂しさからくるもの。退院して一緒に暮らせばすぐに大丈夫になるだろう」と考えていました。
約5日ほどの入院にて母子ともに健康に問題が無かったので予定通り退院。そのまま里帰りする予定だったので、その日に連れて行きました。幸い、私も奥さんも実家が近く協力を得やすい状況でした。ですので、私は奥さんの実家に通う形で職場と奥さんの実家、そして自分達の家を行き来する予定でした。
そして、奥さんの実家到着。夜まで一緒に過ごし、次の日仕事だった私は自分の家に帰ろうとしました。
すると、奥さんから「今日一日でいいから一緒に居てほしい」と泣きながらに伝えられました。この頃から奥さんは既に気持ちに余裕がなく、いっぱいいっぱいの状態だったと思います。私は元々「奥さんは出産という大仕事をしてくれたのだから退院したら何でもやろう」と考えていたので、その奥さんの言葉を了解し、その日は一緒に過ごしました。うちの子供は体が少し小さく生まれたからか母乳をうまく吸えず完全ミルクでした。なので夜中の授乳も私ができることの一つでした。初めての授乳はいろいろと新鮮なことが多くかなり不慣れでした。
そして、次の日の早朝に自分の家に帰り仕事の準備をし仕事へ向かいました。この頃の私はまだ「自分の子供が気になる」としか考えておらず、奥さんの精神状態にまで気を配ることができていませんでした。仕事を終えすぐに奥さんの実家へ。その日も奥さんの実家に泊まりました。元々、「ミルクを飲めるなら夜中の授乳も含めて子育ては積極的にやって奥さんは極力休ませる!!」くらいに考えていたので、夜中の授乳も全く苦ではありませんでした。寝不足は体力を奪います。なので奥さんには極力寝て体力の回復をして欲しい。と思っていました。
既に、この時から奥さんの異変は起こっていました。「他の子の泣き声は聞けるが自分の子供の泣き声は聞けない」「泣いているとイライラする」「自分の子供がかわいくない」等、ネガティブかつマタニティーブルーと呼ばれる産後の状態だと思われる発言が多く、態度にも表れていました。
そしてそれは日々強くなっていき、奥さんが段々と子供を抱っこする時間が減り、イライラする時間が増え、明らかに様子がおかしいと誰の目から見ても明らかとなり始めました。ですが、周囲は「産後によくあることだから」「産後はそうなるのが普通だし、初めてなんだからうまくいかなくて当たり前」というように励ましました。
奥さんの糸が切れた瞬間
子供が生まれて2週間ほど経った時でしょうか。その日も奥さんの実家に泊まっていました。まず、奥さんが子供に母乳をあげてみようと挑戦しました。ですが、うまく吸えずギャン泣きするだけでした。そこでまず奥さんの心が折れました。子供をベットに放り投げ、自身は2階に行きました。
私はまず子供の無事を確認し、安全を確保した後奥さんの元へ行きました。そこには泣きじゃくる奥さんの姿が。私が何を言っても聞く耳を持とうとはしませんでした。そのぐらいひどい状態だったのです。
私は産後は大変、メンタルが安定しない。とは聞いていましたが、ここまでと思ってはいませんでした。なのでその場で「産後うつ」という言葉は全く頭にはなく、産後で少し疲れているだけなので休めば治ると思っていました。
ここからが始まりでした。いえ、もっと前から始まっていたんだと思います。生んだその時から。
そこからは僕も毎日が必死だったので、うろ覚えにはなっていますが奥さんの状態としては、
- 泣き声を聞けない。聞くたびに追い詰められていく
- 授乳ができない・子供に触れない・抱っこできない
- 事あるごとにキレるようになる
- 抱っこしたとしても長時間できず、置くときは投げるように置く
- 寝れない
- 死について考える
といった感じでした。本人は子供を産んだことを後悔するぐらいでした。
里帰り終了
奥さんの家の仕事の関係もあり、帰省は2週間ほどでした。つまり、自宅に戻る必要がありました。自宅は1LDKのアパート、リビングともう一部屋あるといってもその二つの空間はつながっており、仕切りが無いに等しかったため実質一部屋しかないのです。つまり、実家と違い奥さんが子供から逃げれる空間が無い。ということです。
その空間はすでに追い込まれている奥さんをさらに追い詰めたと思います。今までであれば僕に任せて子供から離れられたものの、アパートでは常に一緒にいなければならない。僕が何かやっているのを嫌でも見なければならない。そんな状況が奥さんを追い詰めました。
とはいえ、当時の僕には選択肢がありませんでした。どこかに引っ越すにしてもそんな余裕はない。両親に頼ろうにもそうなると奥さんも気を遣うため(関係が悪かったわけではありませんが、奥さんの性格上気を遣ってしまいます)そうなると休めない。むしろ悪化するまであります。奥さんの実家の方もお仕事がありますのでそう簡単にもう少しお願いします。とは言えませんでした。ひとまず、有給とリモートワークを活用しながらなるべくそばに居れる状況を作りました。ですが、それにも限界があります。有給となると数に限りがありますし、リモートワークとなると最低限とはいえ働く必要も出てきます。とてもじゃないですがそこまでどちらともに集中できるほど僕は器用じゃありませんでした。そうして僕は育休をとることを決意しました。
育休取得後
ここまで子供が生まれておおよそ1か月ほどです。正直記憶がない部分もあります(笑)そのくらい毎日が必死でした。新たに子供の世話を覚えなければならない。奥さんの様子も気にする必要がある。仕事も営業だったので電話がかあってきたり、やることがあったり。騙し騙しやってきましたが、振り返ると何をしていたのか覚えてないくらい必死でした。でも、奥さんもそのくらい毎日が不安だったのだと思います。
仕事を育休で休むと決めてからはかなり心理的な不安はなくなりました。この段階で奥さんが鬱だと思っていなかった僕は、少し休めば良くなる。自分が家にいることで良くなる。4週間で回復する。そう信じて疑いませんでした。ですが、現実はそうではありませんでした。
引き続き子供のことが好きになれない奥さん。子供の泣き声が聞けない奥さん。狭いアパートで逃げ場もない奥さん。産後で体力を奪われている奥さん。毎日ジリジリと確実に、その精神はすり減らされていったのだと思います。怒号、号泣、不眠。確かに前の奥さんではありませんでした。が、「産後はそういうもの」「産後にも個人差があって奥さんは特に難しい側なんだろう」そう思っていました。
育休を取得したものの、4週間という短い期間では僕が仕事に復帰し奥さんが一人で見る。という構図を作れそうにありませんでした。それほど甘くはありませんでした。ただ、育休を取って育児に集中できる環境があったことはプラスに働きました。仕事のことを考えなくてもいい。という心理はかなり楽にしてくれました。また、職場の環境も良かったかもしれません。上司も理解を示してくれ、気にかけてくれました。
相談
育休を取得したことで行動できる可能性が広がりました。そこで奥さんと相談し市の保健師さんへ相談することにしました。正直、当時は頭が回らずどうしていいのかわかりませんでしたが、この選択は良かったと今でも思います。
保健師さんのところに着き、まず私が軽く経緯を説明したところで奥さんが話し始めました。未だに思い出しますが、喋りながらボロボロと泣きながら話していたのです。やはり胸に溜め込んでいたものや、僕以外周りの人間から理解されなかったという苦しみもあったのでしょう。今まで見たこと無いほど泣いていました。
保健師さんからは具体的に病院の紹介を受ける。という対処をいただきました。ただ、話を聞いてもらえてアドバイスを貰えるだけでもかなり心強かったです。
我慢の限界
そうして育休をとりながら初めての育児をしながら生活をしていました。が、ある日私も耐えられなくなることが起きました。奥さんが子供に攻撃しようとしたのです。私はあまりに衝撃でした。奥さんはそれほどまでに限界に達していたのです。私がたまたま見ていたので奥さんを吹き飛ばすほどの勢いで止め、そのまま引きはがしました。奥さんはかなりの錯乱状態で、しばらく暴れていました。なんとか落ち着かせどうしていいのかわからなくなった私は子供の安全を考え、奥さんのお母さんに連絡し実家に一時預かってもらえるようお願いしました。そしてパニックになった私も一時自分の実家に行くことにしました。
これが最大の出来事、私の人生観を大きく変えた出来事だと思っています。それほどまでに衝撃でした。
一時中断
あまりに長くなりそうなので一時これにて中断します。ここまで読んでくださった方には②の方もぜひ読んでいただければと思います。
当時、この経験中に同じような体験をした人を探しましたが、なかなかいませんでした。鬱になった人はいても「産後うつ」と書いていた人は多くなかったと思います。
もし、あなたが悩んでいるのなら少しでも参考に、少しでも支えになれば幸いです。
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